食品は細菌やカビによって腐敗したりするなど品質が悪くなりますが、細菌の中には伝染病や食中毒の原因となる細菌もあります。これらの病原菌は食品の製造や販売などの途中で入ることが多く、その由来をたずねていくと、食品取扱者の中に保菌者を発見する事例があります。食品取扱者が保菌しているとその人に症状が出ていなくても、扱っている食品に移ってしまう例は少なくないので、定期的に検便を受けて、病原菌の有無を確認する必要があります。

検査を必要とされる方

食品取扱従事者…(参考資料・厚生労働省pdfファイル)食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する 指針(ガイドライン)の改正について
学校給食従事者…(参考資料・文部科学省pdfファイル)学校給食衛生管理の基準
保育園従事者 …学校給食従事者と同様です
水道関連従事者…水道法・水道法施行規制
学園祭、バザーなどの模擬店等で飲食物を提供する場合…不特定多数に飲食物を提供する場合などです

実施の目的

赤痢などの経口伝染病の保菌者・サルモネラ保菌者・腸管出血性大腸菌保菌者をいち早く発見し、他の人への感染や食中毒事故を予防することにあります。食中毒菌を保菌していること(健康保菌者)とは知らずに食品を扱ったり、調理作業を行うことは、食中毒事故を起こす原因となります。

保菌(検便)検査対象菌

検査の対象となる代表的な菌の種類をご説明します。

提出用封筒も入った
専用のキットをお届けします
赤痢菌・チフス菌・パラチフス菌・コレラ菌

【主な原因食品】海外旅行時における飲食物(特に生の魚介、サラダ、果物、生水、氷など)

【主な特徴】海外旅行の増加に伴い増加傾向にあり、少量の菌量で感染して人から人へ広がるため、現在我が国では 二類感染症 に類別されています。

【主な症状】激しい下痢、嘔吐など

【予防方法】海外旅行の際には暴飲暴食を避けること、加熱していない料理や生水を摂取しない、渡航前に予防接種を受ける

サルモネラ菌

【主な原因食品】ハンバーグ、食肉、生ハム、生卵、マヨネーズ、ケーキ、サンドイッチなど食肉や卵を使用した食品

【主な特徴】動物やヒトに広く分布しているため、牛・豚・鶏などサルモネラに汚染された動物の食肉・卵といった食品や、ペットからの感染で食中毒を引き起こします。また、場合によっては、調理従事者がサルモネラを保菌することで食品を汚染することもあります。

【主な症状】発熱、水様便、嘔吐

【予防方法】調理の際には十分な加熱(中心温度75度で1分以上)をすること。手指や包丁、まな板などの洗浄・殺菌・消毒(二次汚染防止)を行うこと。ネズミ駆除

腸管出血性大腸菌(O-157など)

【主な原因食品】生レバー、ハンバーグなど/サラダ/弁当や給食/井戸水

【主な特徴】ヒト、家畜の糞便などで汚染された井戸水や、それを使った食品による発生が多く見られます。ベロ毒素と呼ばれる強力な毒素を産生し、1〜数十個でも食中毒を引き起こすことがあります。

【主な症状】腹痛、水様便、時に嘔吐。発熱はほとんど見られませんが、乳幼児や老人など抵抗力が弱い人には溶血性尿毒症や腎臓障害を起こすことがあります。潜伏期間は1ー12日です。

【予防方法】調理の際には十分な加熱(中心温度75度で1分以上)をすること。手指や包丁、まな板などの洗浄・殺菌・消毒(二次汚染防止)を行うこと。貯水タンクや井戸水などの水質検査と管理の徹底

病原大腸菌

【主な原因食品】飲料水、牡蠣、各種食品

【主な特徴】大腸菌は人の腸管の常在菌で、食品中から検出された場合は、比較的新しい糞便汚染を意味します。大部分は無害ですが、ごく一部の大腸菌が人や動物の腸管に感染して下痢や腹痛などの疾病を引き起こします。

【主な症状】下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐。潜伏期間は6〜72時間です。

【予防方法】調理の際には十分な加熱(中心温度75度で1分以上)をすること。手指や包丁、まな板などの洗浄・殺菌・消毒(二次汚染防止)を行うこと。貯水タンクや井戸水などの水質検査と管理の徹底

ノロウイルス
ノロウイルス専用キット

従来小型球形ウイルスと呼ばれていましたが、2002年国際ウイルス命名委員会において、カリシウイルス科のノロウイルス属に分類されたRNAウイルス(一本鎖RNA)となりました。

【主な特徴】感染力が非常に強く、10〜100個のウイルスで感染が成立すると言われています。人から人への感染および食中毒一事件あたりの患者数が非常に多いのが特徴です。現在、ノロウイルスに対するワクチンや治療薬は開発されていないため、治療は脱水症状などの緩和といった対症療法しかありません。

【主な症状】下痢や嘔吐がありますが、自覚症状がなくても感染している場合があり、二ヶ月以上経過してから排出された事例も報告されています。

【予防方法】清潔はもちろんですが、抵抗力が弱まると重症化します。頻繁な手洗いや、感染者との接触後は念入りな消毒とタオルなどの共用を避けること等が重要です。拭き取っただけではウイルスが残っているため、塩素系消毒薬の使用や換気で空気中のウイルスを外に出すことも大切です。

保菌(検便)検査システムの概要

保菌(検便)検査システムにおきましては、中身が見えないようオリジナル採便管を使用し、検索や取り違い防止のためにバーコード管理をしています。

また、工場直送の新鮮な生培地を使用し、自動塗布装置により、精度の高い画線を実現いたしました。それらを温度管理が徹底した大型フラン室にて培養後、熟練した検査技師により判定いたしております。

帳票への入力におきましても誤認を未然に防ぐベリファイ入力を導入するなど、高度な精度管理システムを確立し、開発を行い提供します。